manebiで挑戦する20代2度目の起業に迫る -田島智也

今回は28歳の若さにして人生2度目の起業となる株式会社manebi(マネビ)を設立し、代表取締役社長兼CEOを務める田島智也氏(上写真)に、オンライン学習を動画で学べる「manebi(マネビ)」を立ち上げた経緯とその想いについてお伺いした。
プロフィール
時間を愛する世界に。
―― 現在はどのような事業を行っていますか?
田島:
大きく2つあります。1つ目は「日本最大級の動画を中心としたデジタル出版、オンライン学習プラットフォーム」をコンセプトに掲げる、【manebi.jp】を運営しています。manebiの意味は、学びの語源である「真似ぶ」から取りました。深い意味のある旧漢字の「學」をモチーフにしたロゴです。manebi.jpでは、単品での動画販売(音声なども可)やオンラインスクールの開設が瞬時にできます。現在1,000タイトル以上、約5,000本の動画をコンテンツとして抱え、規模感でいうと日本最大級です。
2つ目はそういった動画学習、デジタル出版、オンライン検定、オンライン英会話などのシステム開発力と運用ノウハウを活かして各企業様のシステムの構築から運用、インフラサポートまで全てワンストップサービスとして提供させていただいております。昨今、個人法人問わず教育市場に対する盛り上がりもあり、また弊社が提供しているシステムが従来のeラーニングの課題を払拭できているという理由から、お引き合いが増えています。
そして、会社として「時間を愛する世界に。」を最上位ミッションに掲げ、その哲学に添った事業展開を考えています。考えに至る背景には、私が12歳の時の父との死別や、知人である経営者の自殺など、色々とあり、人生の意味や有限性をよく考える様になり、人生って?時間って?命って?と思った際に全てイコールで繋がったので中でも具体的な表現として「時間を愛する」という言葉にしました。1分1秒でも多く幸せを感じられたら、それって幸福度が高まることだよね、と。それを感じ取るには他人との比較ではなく自分サイズの幸せと向き合い、そうするためには自分発見を探求し、それを加速するには、「より良い情報やカッコイイ人に出会い自分を磨く」という行動が一番早いのだと考え、今の事業を行っています。
28歳にして2社目の起業
―― manebi社設立までの経緯を教えていただけますでしょうか?
田島:
元々就活すらやる気が無かったのですが、就活中に起業志向になってしまいました。そこで、経営者にたくさん会える機会があり、お金や営業ついて学べる経営コンサルティング会社に新卒で入社しました。営業を最優先に頑張り、徹底的に学び、人脈も広げる努力をしました。その後、1社目の会社で知り合った尊敬する先輩2人と私の3人で前職の会社を立ち上げました。共同代表として務めた前職もベンチャーならではの課題がてんこ盛りでしたが、非常に楽しく、素晴らしい体験が多くできました。
そんな中、自我を確認するタイミングがいくつか訪れ、「何に対し自分の命を懸けるのか?命を削るのか?」という問いに対しての結論が次なる起業への後押しになりました。当時を振り返ると会社としてもっとやるべき事が沢山あるタイミングでの自分勝手な判断なので前職には感謝と申し訳なさと両方抱えているのが本音です。
そのような経緯があり、人生設計の見直しを決断すると、ちょうど素晴らしきご縁があり、良きパートナーに出会うことができ、manebi社を立ち上げることになりました。
ビジネスアイディアの源泉は、就活中に何度も面接に挑んだ会社がありました。それがOKWaveというQ&Aサイトを運営している株式会社オウケイウェイヴです。OKWaveはQ&Aを通じて人と人が助け合うということを体現している事業です。就活中の私は当時個人間で助け合うことに大変魅力を感じ、「これが事業なのか?何だこの素晴らしい空間は!」と衝撃を受けました。当時、自身の失恋について相談を投稿したことがあり、凄く癒やされたのを覚えています(笑)
その時私は「その場に自分が介在しなくてもより多くの貢献をし続けられる仕組みを創りたい」と強く思いました。 そしてmanebiのエンジニアが今のmanebi.jpの前身になるようなサイトを構築している途中で出会ったので、(今考えると全然違うのですがw)「教えると学ぶ」を通じたマッチングという今の事業構想に繋がっていきました。
大型案件時の秘策「損して得取れ」
―― 若くして上司がいない経験が長い中で、意識していきたことは何でしょうか?
田島:
自己の成長という視点でお話しますと、「お手本」「カッコイイ背中」を見つけることを意識しています。なぜなら、私はお手本が無いと何もできないタイプだからです。困ったことに上司がいないので、社外に勝手に師匠を作りまくりました。本人に「弟子にしてください。」と言ったことはありませんが、勝手に尊敬し、図々しくも連絡させていただき、お時間をもらい教えを請います。各分野に師匠がいて「自分が良いな」と思ったものを積極的に真似ぶようにしています。将来恩返し出来るように頑張っているのですが、大御所な方程「気にするな。後輩に繋げ。」と言ってくださいます。事前準備として、素晴らしい方々と出会える様になる前には大量の本を読みました。そして沢山の人に会ってみました。それでやっとどういう方と出会うべきか、真似ぶべきかが何となくわかり、今はより深くの関係性に重きを置いています。これが自分サイズの幸せを理解するということなのだと後から気づきました。
また、これも師匠から教わったのですが、ビジネスの中で「損して得取れ」は結構大事です。ここぞという商談の際には確実に損だと思われることを先にこちら側でリスクを引き受けてしまいます。大物程、その覚悟を買ってくださいます。「はい!やりましょう!」と言い切る前に一瞬ためらう自分が当たり前の様にいるわけですが、結果的に数秒で「はい!やりましょう!」と言える自分がいるのも、教えのおかげだと思います。この時の注意的は、「安くリソースを使ってやろう」という心根の方に上記のことをやると「損して更に損する」しかありませんのでご注意を(笑)愛情ある商談に懸けるべきです。
社会的信用がない中で、たくさんの困難にぶつかる
―― 特に苦労した経験は何でしょうか?
田島:
開発、営業、マーケティング、企画、文化的な問題すべて苦労しています。
まず開発ですが、manebi.jpというプロダクト面ではサービスをローンチした当初、私自身にシステムの知識がなかったことや、国籍が違うエンジニアとのコミュニケーションに苦戦し、体裁の悪い微妙なサイトをローンチしてしまい、そこからの改善が大変苦労しました。
次に営業ですが、manebi.jpのようなサービスはそもそも国内市場に無かったので、最初の営業活動が難しかったです。動画出版、動画学習という概念は未だに日本ではまだまだ馴染んでいないです。まさにこれからの市場ですね。
今後はコンテンツ開発が課題で、電子書籍と同じで今まであったコンテンツをデジタル化したものには限界があります。人間のライフスタイルが数年前と違うので、電子書籍も過渡期でコンセプトの再定義に入っているかと思います。動画も従来のDVDを動画で、という話ではなく今のライフスタイルに合わせた内容、尺、価格帯が重要で、ここも相当大変だと思います。
開発と営業と言ったものの、コンテンツ課題に加え、最後にマーケティングも大変です。モノ(出版側)と、ユーザー(購入側)の両方を集客しないといけないので。
極めつけは文化的な話ですが、オンラインでの学習において日本はアメリカなどの他国と比べると学習意欲が低いです。なので、manebi.jpを通じてその問題もゆくゆくは解決していければと思っています。ということで何とも難しい領域に足を踏み入れてしまったなと(笑)これらをアイデアで乗り越えます。
仕事を通じての社会貢献を増やしたい
―― 今後の事業展開を教えてください
田島:
今年の夏に公表できることが多いのですが、今のmanebi.jpのサイトからは想像しづらい動きを水面下で行っています。
詳細は控えさせていただきますが、
「キャッシュポイント」と「戦う市場」を少しズラします。年内にこれまで撒いてきた種が芽を出す予定なのでとても楽しみです。
全ては「時間を愛する世の中に。」するため、虎視眈々と機会を伺い、仕掛け続け、人間万事塞翁が馬で行動するということに尽きると思います。
うるラボ編集部から一言
田島様は非常にビジョンが明確で、とても魅力的な方です。ぶれない芯を持つことの重要性を今まで以上に痛感しました。
manebiのサービスはいつでもどこでも學ぶことができる非常に素敵なサービスなので、是非一度使ってみてください!
取材協力:株式会社manebi(マネビ)
サービス情報:「オンライン学習を動画で学ぶ | 学習するならmanebi(マネビ)」
manebi(マネビ)はこちら
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